ドイツ製モーゼル C96/Mauser C96


(写真上)陸自武器学校資料館で撮影したモーゼル C96

武器学校に展示されているC96は9mm弾仕様を表示する特徴的な"9"のグリップ刻印がないので7.63mm×25弾仕様と思われる。木製ストックはホルスターを兼用している。


作動方式:シングルクション、給弾方式:挿弾子(クリップ)10発、ライフリング:右4条
重量:1100g、全長:288mm、銃身長:140mm

ドイツ軍では制式採用されなかったが知名度の高い大型ピストル

モーゼルC96は1896年にモーゼル社によって開発された。使用弾薬は7.63mm×25弾で携帯性を重視した他の軍用拳銃とは異なりかなり大型の拳銃である。 帝政ドイツ軍ではルガーP08が制式化されたのでC96は制式採用されなかったが海外には大量に輸出された。モーゼル社で生産されたオルジナルの他、スペインや支那ではモーゼル社の利益を 侵害する違法なコピー生産が行われており総生産数は100万丁以上と言われている。1916年には9mmルガー弾を使用するC96(1916)が開発されている。

サブマシンガンが登場していなかった第1次大戦前半では発射速度の速いC96は塹壕戦や接近戦で重宝された。 第2次大戦期では既に旧式化していたが基本性能が優秀であり武器の不足に悩んでいたナチスドイツ軍でも多くが使用された。但しナチスドイツでも制式採用はされていない。 支那軍でも大量に装備され支那事変におい日本軍との戦闘に投入されている。それを鹵獲した日本軍でもモ式大型拳銃として準制式し愛用された。
モーゼルC96は大型ピストルであるが弾倉がトリガー前部にあり握りやすいグリップ形状も相まって命中精度は良好であった。これが多くの国で愛用された理由であろう。

反面、複雑な構造でありメンテナンスに難があるのが欠点だった。



発展型のM712”シュネルファイヤー”

C96には多くの派生型があるが最も有名なのがM712”シュネルファイヤー”であろう。単発/連発切り替え可能となるなど近代化が図られた。従来のクリップ装填に加えてフルオート射撃に対応する為、 着脱式マガジンによる装填も可能となった。 M712は約10万丁生産され多くが支那に輸出されたがナチスドイツ軍でも一定数が使用されており特に武装SS部隊では木製ストックを装着しカービン銃の代用として多用された。


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太平洋の海鷲

torakyojin88
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