アメリカ製短機関銃 M3A1/US M3A1 SMG GREASE GUN

M3A1 at JGSDF Ordnance School
(写真上)陸自武器学校に展示されている短機関銃 M3A1。M3/M3A1はナチスドイツ軍のMP38/MP40を参考に開発されたが弾倉や伸縮式ストックにその影響を強く感じられる
口径:11.43mm、全長:570mm(ストック使用時:757mm)、銃身長:203mm、重量:3.63kg(弾倉付き)
ライフリング:4条右回り、作動方式:反動利用、給弾方式/装弾数:箱弾倉/30発
発射速度:持続40発/分 最大60発/分、初速:280m/s(普通弾)、最大射程:1500m、有効射程:50〜80m

アメリカ式合理主義で造られた簡易型戦時量産兵器

M3は第2次大戦中、アメリカで大量生産された短機関銃で外観がグリース注入器によく似ている事から”グリースガン”の愛称で知られている。試作段階ではセミ/フルオート切り替え式であったが 量産型はフルオートのみとなった。

自動車会社ジェネラル・モータース社のマスプロ技術が活用され大戦中だけで実に65万丁あまりが生産された。マスプロ成功の鍵はプレス加工と溶接にあった。 米軍の制式拳銃 M1911と同じ45ACP弾を使用している。実戦投入は大戦後半からで主に戦車搭乗員や後方部隊などに配備された。非常に堅牢な構造で信頼性が高く米軍以外の連合国軍でも多数供与された。

大戦後も朝鮮戦争やベトナム戦争など数多くの戦争で使用され21世紀の今日でも一部が現役にある長寿な兵器である。日本でも11.4mm短機関銃 M3A1 として60年あまりも使用されつい最近になって制式を外されている。なお、原型のM3と改良型のM3A1があったが大半はM3でM3A1の生産は比較的少数だった ようである。



米軍を代表する兵器だったM3「グリースガン」は数多くの戦争映画に姿を見せている。
THE DIRTY DOZEN  ”特攻大作戦”

硬派作品で知られるロバート・アルドリッチの非常に知名度の高い戦争映画「THE DIRTY DOZEN(邦題:特攻大作戦)」(1967年公開)ではリー・マービンをはじめ米軍犯罪者部隊の兵士が M3「グリースガン」を乱射するシーンが迫力満点で描かれている。本作はリー・マービンの他にもチャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、テリー・サラバス、 ジョージ・ケネディ、ロバート・ライアン、アーネスト・ボーグナインなど当時のハリウッド映画の人気俳優が多数出演している事でも有名。

「特攻大作戦」でM3A1と並ぶほど強いインパクトを観客に与えたのが実物の12tハーフトラック SdKfz8で映画後半で大活躍する。後年製作された「遠すぎた橋」に登場するSdKfz8は本車両と同一車両と 言われている。

GO TELL THE SPARTANS  ”戦場”

1978年に公開されたアメリカ映画「GO TEll THE SPARTANS(邦題:戦場)」では主役のバート・ランカスター演じるバーカー少佐 が全編を通じてM3「グリースガン」を手にしているのが印象的であった。「GO TEll THE SPARTANS」は1964年、アメリカがベトナムに介入した直後の 米軍軍事顧問団の様子を描いた作品。登場する兵器もM3をはじめ第2次大戦型兵器が主流でM16は全く登場しない。

同時期に公開された「ディア・ハンター」や「地獄の黙示録」の影に隠れて知名度は低いのですが 考証も正確で軍事マニア的には注目点の多い戦争映画だ。本作の監督は「コンバット!」や「刑事コロンボ」など日本でも知られる多くのテレビドラマを手掛けたテッド・ポスト。

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