TYPE99 88mm Anti-aircraft Cannon
(写真上)陸自高射学校に展示中の九九式八糎高射砲の砲身。 説明によれば高射砲第十二連隊若しくは高射砲第百二十三連隊に装備されていたものらしい。砲身は切断されているが駐退機と復座機は概ね原型を留めている。
支那事変中の昭和12年、南京付近で鹵獲したクルップ製高射砲が優秀な性能と認められコピー生産されたものが九九式八糎高射砲である。 このクルップ製高射砲により日本軍機はかなり苦戦したと伝えられる。当時の帝國陸軍は敵からの鹵獲兵器でも優秀なものはその価値を率直に認める柔軟性を 有しておりこのクルップ製高射砲以外にも多くの鹵獲兵器が軍に使用されている。

クルップ製、そして88mmという口径から有名なナチスドイツ軍の88mm高射砲FLAK18と混同される事が一部に見られるが全くの別物である。 このクルップ製高射砲に関して細評は不明なのだが どうやら輸出用に製造されたものらしい。当然、第二次大戦で連合軍の恐怖の的となったFLAK18の高性能には及ぶべきもないのだが大東亜戦争中全期間を 通じて帝國陸軍高射砲の数的主力だった八八式七糎野戦高射砲よりは優れた性能であり当時の日独の技術格差を痛感させられる存在でもある。

内口径口径弾量初速最大射程最大射高
八八式七糎野戦高射砲75mm42.8口径約6.5kg720m/s13800m9100m
九九式八糎高射砲88mm45口径9kg800m/s15700m10420m
88mm高射砲FLAK1888mm56口径9.5kg820〜840m/s約20000m10600m

九九式は量産性が優れており500門以上が造られた。基本的には陣地固定式で本土に多く配備されていたようだ。


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