フランス海軍フリゲイト「フロレアル」級/FRENCH NAVY FRIGATE FLOREAL CLASS


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20世紀末になっても世界各地に海外県・海外領土を持つフランスは長期間本国を離れてそれらの海外領域を保護する軽艦艇を必要としてきた。
「フロレアル」級は90年代に入り海外領域監視・保護用に整備された軽量型フリゲイトでありかつての通報艦に相当する存在でありフランスの国威を発揚する ショー・ザ・フラッグも重要な任務である。

建造費を抑制する為、 大幅に商船構造を取り入れ武装も軽減されている。長大な航続距離が重視されているので主機はCODOD方式(ディーゼル4基)

満載排水量 2900t
全長 93.5m、幅 14m、吃水 4.4m
主機/軸数 CODAD方式(ディーゼル4基)/2軸<、速力 20ノット
兵装
・100mm単装砲1基、エグゾゼSSM発射機4基、シーバッド短SAM2基、20mm単装機銃2基
艦載機
・ヘリコプター1機

フロレアルF-7301992年5月竣工
プレリアルF-7301992年5月竣工
ニヴォーズF-7301992年10月竣工
ヴァントーズF-7301993年5月竣工
ヴァンデミエールF-7301993年10月竣工
ジェルミナルF-7301994年5月竣工


(写真右)
上と同じく平成27年度海自観艦式に参加した折に浦賀水道で撮影した「ヴァンデミエール」
前甲板にはフランス海軍の標準的艦砲である100mm単装砲モデル68が搭載されている。「フロレアル」級が配備されている比較的脅威の低い海域ではミサイル以上に 必要度の高い武器だろう。

本来なら前部マスト直後にエグゾゼSSM発射機が搭載されているのだが写真の「ヴァンデミエール」では搭載されていないようだ。対空ミサイルでは歩兵携帯式 ミストラルの艦対空型であるシーバッドが装備されている。煙突が並列式なのはヘリコプター格納庫を確保する為。なお、並列式煙突間に装備されている大型レドーム は下に掲載した平成19年来日時には装備されていなかった点に注目されたい。



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(写真右)
艦尾方向から見た「ヴァンデミエール」。平成30年2月に東京晴海に寄航した際の艦容。飛行甲板には「アルエートV」が駐機している。



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平成19年10月に横須賀新港で撮影
27年度観艦式に参加した艦容と比べるとこの時は前部マスト直後にエグゾゼSSM発射機が搭載されているのが分かる。前述した大型レドームの他にも通信系 装備に幾つかの変更点が見られる。「フロレアル」級は比較的地味な艦艇だが時代の移り変わりと共に装備は着実に改善されているようだ。

ところで本クラスの整備理由であるフランスの海外県・海外領土であるが19世紀から20世紀前半のフランスの帝国主義的政策の遺産とも言える存在であり第二次大戦の 敗戦国であり全ての海外領域を失った現代日本人にはなかなか馴染みの無い存在だ。

現在、フランスの海外領域は5つの海外県をはじめ準海外県、海外領土などからなり それらは世界各地に点在しその総人口は約260万人と決して小さな存在とは言えない。法律的には自治権が認められているが国防に関してはフランス本国が全面的 な責任と権限を有する事は言うまでもない。

なお、「ヴァンデミエール」はフランス領ニューカレドニア・ヌメアに配備されている。

(写真中)
100mm単装砲モデル68は発射速度78発/分、水上目標に対する有効射程は約12000m。原則として砲塔内は無人だが必要に応じて砲塔要員2名を配置出来る


(写真左)
前部マスト直後にエグゾゼSSM発射機が見える。


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